コラム
介護業界の本音の退職理由
高齢化社会が進み、
介護業界は安定している一方で離職率が高いと言われている職業です。
多くの介護職員は「長く働きたい」と思っていますが、
なぜ退職に至ってしまうのか?
そんな「介護業界の本音の退職理由」について
ご紹介していきたいと思います。
介護業界の本音の退職理由TOP9位を徹底解説
期待とやり甲斐を求めて介護職を志した方も少なくないでしょう。
しかし、いざ働くと
「当初イメージしていた働き方ではなかった」
「会社や人間関係に問題があった」
なんて声も。
下記の表を参考にご説明していきたいと思います。
退職理由1位:出産、育児などライフステージの変化
介護業界で活躍される7割の方が女性であることから、
仕事との両立が難しいと感じて離職される方が多いようです。
この退職理由で介護業界を離れた方の多くは、
復帰される割合が高いのも特徴です。
あまり知られていないですが、
労働基準法によると雇用形態を問わず一定の条件を満たしていれば、
パートやアルバイトでも産休や育休を取ることは可能です。
しかし、介護業界は人手不足であることからそのような現状を知っていると
「迷惑をかけてしまうから一旦辞めよう」と考える方も多く、
まだまだ産休や育休が取りにくい環境と言えるでしょう。
==ポイント==
・子育てへの理解がある職場、主婦が多い職場を見つける
・子供の発熱などがあった時、急な休みが取れるか面接で確認する
退職理由2位:会社の理念や運営への不満
介護業界への熱意やヤル気がある方に多い理由です。
施設や事業所の方針と自分のビジョンが合わないと、
働くモチベーションも下がってしまうもの。
人は誰しもお金のために働くと言っても過言ではないですが、
それだけでは働く意欲を保つことは容易ではありません。
他者から認められた瞬間、期待に応え結果を出した時など、
やり甲斐を感じるでしょう。
そんな自分の能力やフィールドが発揮できる職場を求めている人は
介護業界でも多く、
社風は働きやすさを左右する重要な要素のひとつなので、
離職に至ってしまうのも納得です。
==ポイント==
・思い切って改善点や悩みを上司に打診・相談してみる
・現状をしっかり見極めて、今後快適に働ける環境を考えてみる
退職理由3位:職場の人間関係への問題
こちらのランキング表では3位になっていますが、
最も多い退職理由のひとつでしょう。
介護業界は女性が多く閉鎖的になる側面も少なくないことから、
トラブルに発展しやすい傾向があるようです。
職員同士の問題以外にも、
利用者様との関係性について悩む方も少なくありません。
利用者様から暴言や暴力などの
理不尽な対応をされた経験があるという方も多いでしょう。
このようなトラブルがあった時、
相談したくても相談できる環境が整っていないなど、
問題解決に取り合ってもらえず退職されたという話も珍しくありません。
また、介護業界は異業種からの転職者も多く、
幅広い年齢層の人たちが働いています。
そのため経験の差や価値観の違いから意見が合わず、
チームワークが大切な職業ならではのやりにくさを感じて退職された人も。
==ポイント==
・ひとりで抱え込まず、上司や同僚に相談できる環境を整える
・一旦は相手の気持ちを尊重し、歩み寄る努力をしてみる
・根幹的な解決が見られない場合は、転職を視野に入れる
退職理由4位:収入が低い
収入の低さから退職される人も多いです。
特に資格を持っていなかったり初任者研修終了だけですと、
資格手当が付かないことも多く、
収入への不安から介護業界を離れてしまうケースも。
介護業界は収入が低い印象がありますが、
ここ数年は待遇改善が行われている職場が増えています。
収入の低さが決定的な退職理由になるケースは、
意外にも少ないと言えるでしょう。
==ポイント==
・収入UPするために資格を取得する
・夜勤手当など、手当が厚い職場へ転職する
・以前よりも収入が右肩上がりの会社が多いため、非常に将来性はある
退職理由5位:心身の不調
介護の仕事は利用者様の身体介助などを行うため、
少なからず体力が必要になってきます。
要介護度が高い利用者様を筆頭に、
認知症や病気により様々な問題を抱える利用者様も多く、
一人ひとりに合わせて臨機応変な対応が求められます。
一見「すぐ出来そう」「簡単なこと」と思う方もいるかもしれませんが、
やはりお相手は人であること、イレギュラーな急変も多い介護業界は、
ひとつの業務を行うのも大変です。
このような背景に至ってしまっているのは、
人手不足が大きく関連しているのが実態。
職員一人ひとりが抱える仕事量が多く、疲労の蓄積やストレスが原因となり、
心身の不調を理由に退職に至ってしまうのです。
介護業界で働く人は奉仕力が高く、
優しい性格の人が多いため多少の無理も受け入れ、断れない人も多いでしょう。
気づいた時には「職場に通勤するのも辛い…」なんてことも。
そうなる前に助けを求められる環境があるか、
今一度考えてみると良いかもしれません。
==ポイント==
・介護職の中でも肉体的な負担が少ない職種を検討してみる
・業務に支障をきたしてしまう前に、上司や周囲に相談できる環境を作っておく
退職理由6位:勤務体制
介護の仕事は利用者様の急変など、
イレギュラーな対応もあるため残業せざる追えない状況が
出てきてしまうこともあります。
しかし、長時間の残業や休みがしっかり取れないなど
ブラックな職場があることも残念ながら一定数あります。
中には「上司に引き止められて中々辞められない…」ということも。
これは退職理由5位の心身の不調と通ずるところがありますが、
人手不足が相まって無理な勤務体制を強いられてしまうケースもあります。
業務どころか自分の家庭や私生活にも影響が出てしまうリスクも。
==ポイント==
・労働条件通知書を確認して、労働条件の記載を見返してみる。
そこで条件と異なる場合は責任者や上司などに相談してみる。
・以前よりも労働法を徹底している会社が増えてきているので、
明らかに労働条件と異なる働き方をしている場合は、他社に転職する。
退職理由7位:腰痛
介護職の腰痛は職業病と言っても過言ではないでしょう。
特養などの要介護度が高い利用者様が多い職場は、
移乗介助やかがむことが多く、職員の体に負担が大きいですよね。
腰痛=介護職では難しい?!と考える人もいるかもしれませんが、
実はそんなことはありません。
生活支援が多い(身体介護が少ない)訪問介護へ転職される人も多く、
身体的負担が少ないデイサービス、
デスクワークが多い生活相談員へ転職される方も増えています。
==ポイント==
・同じ施設系でも腰痛に理解がある職場を選択する
・介護度が低い業種などへ転職する
退職理由8位:資格や能力を発揮できないため
介護業界には熱意がある人、誇りを持って働く人が多いです。
資格取得やキャリアアップを目標にすること、人との触れ合いが好きで働くこと、様々な理由で介護業界を志すものですが、
少なからず「やりがい」を持って業務に励まれています。
そのやりがいを実現するには、自分の力を発揮できる環境があってのこと。
高いスキルを持っている、目標のために挑戦したい、
取得した資格や経験を活かしたい、そんな熱意ややる気を発揮するためには
自己成長できるフィールドやキャリアアップできる職場環境が必要です。
==ポイント==
・正当な評価、キャリアアップできる職場を選ぶ
・転職をすることで自分の実力を試し、可能性を広げてみる
・今抱えている悩みを責任者や上司に話し、
スキルにあったポジションを与えてもらうように打診してみる
退職理由9位:家族の介護など家庭の事情
建前の退職理由として家族の介護を使う人も一定数いますが、
実際この理由で退職される人も多いです。
特に40代、50代の職員に多く、決して珍しい理由ではありません。
人生経験も多い中高年層の介護職員は大切な戦力であり、
介護業界が必要としている人達でもあります。
退職や休職をする前に働き方を変えることはできないか、
一度話し合ってみると良いでしょう。
==ポイント==
・週1の勤務も歓迎の職場も多い!働く日数や時間など打診してみる
・家庭の事情への理解がある、融通が効きやすい職種に転職を検討してみる
まとめ
今回は、介護業界の本音の退職理由について、
ご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
これから介護職を目指そうと思っている方、
現在介護のお仕事をされている方の参考になれば幸いです。